懐中電灯とヘルメット

防災点検は、備蓄品の用意だけで十分だと思っていませんか?災害備蓄品を用意するだけでなく、いざという時に命を守る行動をとれることが重要です。

今回は、防災点検の日に点検することについてお話します。

防災点検は何を点検するのか?

3月・6月・9月・12月の1日は「防災点検の日」です。

ご家庭では建物や家具類の震災対策、防災用品の備え、緊急時の避難行動や連絡手段を確認しましょう。

防災点検で確認すること

  • 家屋の耐震化・耐震補強等の安全確認をおこなう
  • 家具の固定、火災報知器・消化器の備付、ガラス飛散防止などを確認する
  • 防災用品(家族構成に合わせた備蓄量)を準備する
  • 防災マップ・避難マニュアル等を用いて避難経路を確認する
  • 災害時の家族や知人との緊急連絡方法、災害用伝言ダイヤル「171」、災害用伝言版を確認する

防災点検その1 避難スイッチを決めよう

避難スイッチ

避難所に向かうことだけが避難行動ではありません。

自治体による避難勧告が発令される前に、既に大規模な水害が発生していたり、避難経路が寸断されている恐れもあります。

そこで重要なのが、避難スイッチ(避難する目安)です。

2018年の西日本豪雨では、住民たちが独自に決めた避難スイッチのおかげで、一人も犠牲者が出なかった地域もあります。行政からの情報だけに頼るのではなく、家族や近隣住民と避難スイッチを決めておきましょう。

災害時に役立つ「3つの避難スイッチ」

避難スイッチには3つの種類があります。3つの避難スイッチを発動させるためには、地域や所属団体の避難訓練へ積極的に参加することも大切です。
①行政による避難情報

「警戒レベル3 避難準備・高齢者等避難開始情報」、「警戒レベル4 避難勧告・避難指示」などが発令されたとき

②周辺環境の異変

雨の量や強まり方、川の流れ、水路の増水、泥の臭いがするなどの異変に気付いたとき

③他者からの働きかけ

自分はまだ大丈夫と思って避難しなかったが、近隣の住民が避難し始めたときや、「一緒に避難しよう」と声かけがあったとき

参考:京都大学防災研究所 竹之内健介「防災スイッチって、何?」2020年4月発行

防災点検その2 スマートフォンの緊急時情報

もしもあなたが災害時や避難中に倒れてしまったら、救助員や周囲の人に、自分が飲んでいる薬についてうまく説明できますか?

スマートフォンには「緊急時情報」という機能があります。iPhoneの場合は「メディカルID」という同様の機能があります。

緊急時情報とは、スマートフォンのロックを解除しなくても、服用している薬、血液型、アレルギー、臓器提供、本人の緊急連絡先などを参照できる機能です。持病がある方や、日頃から薬を服用している方は設定することをおすすめします。

スマホの「緊急時情報」の設定方法

①「設定」から「システム」をタップします
②「端末情報」から「緊急時情報」をタップします

③ 「情報の編集」をタップして、必要な情報を入力します。

プライバシーが気になる場合は、全ての情報を入力する必要はありません。入力を終えると次のような緊急時情報が完成します。

スマートフォン画面

※端末機種によって表示画面が異なる場合があります。

⑥ 「+連絡先の追加」の画面から、必要に応じて家族やかかりつけ医療機関の連絡先を登録します

かかりつけの病院等の連絡先を登録すると、スマートフォンを拾った人がその連絡先に発信することができます。持病がある方、継続的に薬を服用している方は登録すると安心でしょう。

スマートフォン画面

⑦ スマートフォンを拾った人は、ロック画面下にある「緊急/情報」から緊急時情報をタップして、あなたの健康状態などを確認できます

防災点検その3 トイレの備え

男女マーク

実際に被災された方々を対象にした「災害時に困ったこと」のアンケート結果によると、第1位は「災害時のトイレ問題」でした。

災害により電気や上下水道が寸断されると、家庭の水洗トイレが使用できなくなる場合もあります。トイレを我慢することで健康被害につながる恐れもあります。万一に備えてトイレの備えがあるか確認しましょう。

街で使える災害用マンホールトイレ

トイレとテント

マンホールトイレとは、その名の通り上下水路にあるマンホールを災害用トイレとして使用するものです。

「道の真ん中で用を足すのは嫌」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。最近のマンホールトイレは、テントのような覆いや専用の便器を設置することができ、被災時も快適なトイレ環境をつくる工夫がされています。

簡易トイレ

何事も準備が肝心です。避難所や施設周辺のトイレ状況や、自宅の周辺にマンホールトイレを設置できる場所があるかを確認しましょう。