水虫治療のキホン!治療薬の塗り方&水虫予防を現役薬剤師が解説

気温と湿度が上昇する時期は、水虫に感染しやすくなります。毎日洗剤で洗っていても、ケアを怠ると家族内感染を引きおこすことも。

そこで今回は、水虫治療のキホンと感染予防についてお話します。

水虫になる原因は何ですか?

A.水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が、足や手などの皮膚の角質層に感染して起こる病気です。

皮膚に傷などがなければ、白癬菌が皮膚に付着してから24時間以内に洗い流すことで、水虫になりにくいと言われています。

しかし、足に汚れや菌が付着したままの状態や、清潔でないバスマットを使用したり、皮膚に傷などがある場合は12時間程度でも水虫になることがあります。

水虫の感染予防にはどんな方法がありますか?

A.部屋の中(床やカーペット等)を、常に清潔に保つことが大切です。

足白癬(足の水虫)をもつ人が家庭内にいる場合、お風呂上りに使用する足ふきマットには「白癬菌がほぼ100%いる」と言われています。

白癬菌はしぶとい菌です。床などに落ちた垢(あか)のなかで1年くらい生きることができます。したがって、床やカーペットをこまめに掃除するのはもちろん、タオル類を清潔に保つことが重要です。

白癬菌は湿気が大好物ですので、除湿器を用いるなどの湿気対策もおこないましょう。

水虫は靴下を履けば感染しませんか?

A.毎日清潔なものに履き替えていれば、不潔な床を素足で歩くよりは良いでしょう。

白癬菌は、ヒトからヒトへ感染する菌です。水虫の人が裸足で歩いた床から感染することがあります。

足を守るという観点でいうと、不潔な床を素足で歩くよりも、毎日清潔な靴下を履くことは水虫予防に効果的でしょう。

しかし、皮膚が不衛生な状態のままで靴下を履いてしまっては身も蓋もありません。靴下を履く前に足を軽く洗ったり、汗や湿気を拭き取ると良いでしょう。

足の裏をゴシゴシ洗ったほうがいいですか?

A.強い力で洗うと、皮膚が傷ついて炎症がおきたり、患部が悪化する可能性があります。泡立てた石鹸でやさしく洗いましょう。

角質層のひび割れや傷に菌が入り込むと、症状の悪化や二次細菌感染が生じやすくなります。水虫の患部を傷つけないように、石鹸をよく泡立てて優しく洗うようにしましょう。

洗浄後は、乾いた清潔なタオルで水気を拭きとり、指の間までしっかり乾燥させます。

水虫の治療薬はどんな種類がありますか?

A.塗り薬の種類は、軟膏・クリーム・ローション・スプレーなど様々です。患部の状態や部位により使い分けます。

主な水虫治療は、「外用抗真菌薬」というカビを殺す塗り薬が処方されます。爪にできた水虫(爪白癬)の場合は、飲み薬が処方されることもあります。

薬の種類により異なりますが、最近の治療薬は皮膚への浸透力が高く、1日1回の塗布で有効とされているものが多いです。患部の状態によって薬剤や使用方法が異なりますので、自己判断で市販薬を購入する前に、かかりつけの専門医や薬局に相談しましょう。

治療薬は患部だけに塗ればいいですか?

A.塗り薬は患部とその周りだけでなく両足に塗ることが多いです。

足白癬(足の水虫)の場合、塗り薬は患部とその周りだけではなく両足に塗るというのが、皮膚科のスタンダードな指導のようです。

ただし、患部の状態や薬剤の種類により塗り方が異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。

水虫治療はどれ位の時間がかかりますか?

A.個人差はありますが、治療を開始してから約3週間~1ヵ月ほどで症状が改善されると言われています。

約3週間が経過すると、かゆみやひび割れが緩和される患者様が多いです。しかし、「かゆみが無い=完全に白癬菌が死滅した」ということではありません。

足白癬の場合、皮膚が生まれ変わる約3ヶ月間は、薬を塗り続けていただく必要があります。たいへん根気の要る治療です。

症状の改善が見られない、または症状が悪化するようであれば、我慢せずに医療機関を再度受診しましょう。

参考:東京女子医科大学附属成人医学センター 「外用抗真菌薬使用のポイント」