甘酒ブームで注目されている「酒粕」。飲む点滴と呼ばれていますが、実際にどのような働きがあるかご存知でしょうか?
そこで今回は、健康と美容をたすける酒粕の驚くべき力についてお話します。
酒粕のペプチドと高血圧予防
酒粕には、ペプチドと呼ばれるタンパク質とアミノ酸の仲間が含まれています。
ペプチドとは2~50個程度のアミノ酸がペプチド結合したものを指し、タンパク質よりも体内に吸収されやすい特徴があります。酒粕に含まれるペプチドは、血圧上昇に関わるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを阻害し、血圧を低下させる働きがあることが報告されています※。
この発見により、高血圧予防等の観点から酒粕が再注目されているのです。
※参考:日本新薬株式会社「酒粕から血圧低下機能の食品素材 日本新薬と月桂冠が共同開発」
美肌をたすけるコウジ酸
酒粕に含まれるコウジ酸、フェルラ酸やアルブチンは、シミの原因となるメラニンを生成するメラノサイトの働きを抑制する作用※があります。なかでもコウジ酸は、美白有効成分として厚生労働省にも認められている注目の栄養素です。
さらに、酒粕に含まれるビタミンB群は、皮膚や粘膜を健康に保つ働きによって肌荒れ予防を助けてくれます。
※参考:菊正宗「酒粕は搾りカスではなく、栄養の宝庫」
甘酒とお通じ改善の関係
酒粕には、100gあたり5.2gもの食物繊維が含まれています。
いまいちピンとこないかもしれませんが、白米と比べると約10倍の量。食物繊維は便の量を増やして便秘解消をたすけたり、糖の吸収を抑える働きがあります。
また、麹に含まれる酵素は、腸の善玉菌を増やして腸内環境を整えたり腸の働きを活性化させます。
甘酒の糖質量と注意点
甘酒などの飲料で酒粕を摂取する場合は、糖質量に注意しましょう。
甘酒は砂糖・塩などを入れて煮詰めるため、牛乳や豆乳と比べて糖質量が高い傾向にあります。1日あたりの推奨量を守り、糖質オフ商品を選ぶことで過剰摂取を避けることができます。
また糖尿病や治療中の方は、かかりつけの医療機関や薬局に相談することをおすすめします。
一般的な市販の甘酒の糖質比較(100g当たり) |
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出典:文部科学省『第2章 日本食品標準成分表 2015年版「し好飲料類」』
新潟出身の筆者おすすめの酒粕レシピ
ホウライがある新潟県は、全国屈指の日本酒の名産地。上越市出身の筆者も幼い頃から酒粕料理になじみがあります。
地元のスーパーや酒屋にいくと「雪中梅」や「千代の光」など老舗銘柄の酒粕がよりどりみどり。酒屋のご亭主の話では「そのまま食べるとチーズのような芳醇な味がする」そうです。
ここからは、簡単に作れるおすすめの酒粕料理をご紹介します!
雪国上越の定番料理「粕汁」
「粕汁」は雪国の酒粕料理の定番です。
基本的な作り方は、酒粕・味噌・出汁をお好みの分量で溶いてまぜるだけ。季節や旬の食材を取り入れれば、一年を通して色んな粕汁を楽しめます。
おすすめの粕汁アレンジ
- 旬の鱈をいれた鱈粕汁(上越地方では鮭と鱈を入れることが多い)
- 雪下大根やニンジンたっぷりの野菜粕汁
- 野沢菜づけを細かく刻んで入れた野沢菜汁
タラは他の魚と比べても魚臭さが少ないほうなので、小さなお子さんがいるご家庭でも美味しくいただけますよ。
お子さんのいるご家庭では、鍋の水に酒粕を入れたあと、味噌を溶く前に十分に沸騰させると、アルコールが飛んで酒臭さがなくなります。
定番に飽きたら酒粕アレンジレシピ
酒粕は魚以外の食材とも相性抜群。
麹に含まれる酵素が魚介・肉類の繊維を柔らかくしてくれるので、煮込み料理や漬け込み料理にも活躍します。
さまざまなレシピで酒粕の栄養素をとりいれてみてください!