熱中症の症状・重症度分類とは?経口補水液の作り方と応急措置

熱中症の対策は万全ですか?

「涼しい場所にいるから大丈夫」「激しい運動をしないから大丈夫」という思い込みは危険です。

今回は熱中症の主な症状と、経口補水液をご家庭で簡単に作る方法についてお話します。

熱中症が起こる原因

私たちの体には、体内に溜まった熱を体外に放出して体温調節を行うはたらきがあります。

運動などをして体温が上昇したときには、体の表面にある血管が拡張し、たくさんの血液が流れ込むことで熱を外に放出します。

同時に、汗をかいたときに水分の蒸発とともに熱が放出され、上がった体温を下げるはたらきもあります。

出典:環境省環境保健部環境安全課、熱中症環境保健マニュアル 2018

外気温が高すぎたり、暑い環境で長時間過ごすと体温調節がうまく機能しなくなり、体内に熱がこもった状態になります。

さらに、大量の汗をかくことで体内の水分と塩分が奪われます。水分と塩分が奪われると体液のバランスが崩れ、失神・けいれん・意識障害・吐き気などの熱中症の症状がおこります。

熱中症の主な症状と重症度分類

熱中症にみられる主な症状には、熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病の4種類があります。

これらの症状は重症度別に3段階に分類されます。熱中症Ⅲ度の場合は、意識障害や臓器障害が生じることもあり、命に関わる大変危険な状態に陥ります。

では、どのような症状があらわれるのでしょうか?

【熱中症I度】熱失神・熱けいれんの主な症状

イラスト©アトリエウパ
熱失神の主な症状:めまい、立ちくらみ、顔面蒼白、瞬間的な失神など

熱失神は、皮膚の表面を通る血管が拡張すると急に血圧が低下し、脳への血流が悪化すると起こります。

熱けいれんの主な症状:筋肉痛、こむら返り、筋肉のけいれんなど

大量に汗をかくと、水分とともに塩分が奪われ血液のナトリウム濃度が低下。手足などに痛みやけいれんが生じます。

【熱中症II度】熱疲労の主な症状

主な症状:全身倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐、集中力低下など

大量に汗をかいて体の水分が奪われると、脱水状態に陥り体がぐったりするような症状が表れます。

【熱中症III度】熱射病の主な症状

主な症状:意識障害、高体温、全身のけいれん、うまく歩けない、過呼吸、臓器の機能障害など

熱失神・熱けいれん・熱疲労がより進行し、呼びかけに反応しなくなるなど中枢機能に異常をきたします。

緊急に冷却療法を行う必要があり、生命に関わる極めて危険な状態です。

熱中症が疑われるときの応急措置

熱中症が疑われるときは、重症度に関わらず、早急に適切な応急措置をおこなう必要があります。

救急車を呼んだ場合であっても、現場で速やかに冷却や水分補給をおこないましょう。

救急車が到着するまでにやる事

  • 屋外にいる場合は、クーラーがついている室内に避難する
  • 近くに建物がない場合は、風通しの良い日陰に避難して安静にする
  • 衣服を脱がせて、体内にこもった熱を放出させる
  • きついベルトやネクタイ、下着をゆるめる
  • 体の表面に冷水をかけるか、水で濡らしたタオルなどをあてて、うちわや扇風機であおぎ体を冷やす
  • 保冷剤がある場合はハンカチに包み、特に首の両脇、わきの下、太ももの付け根など、太い血管が通る箇所を冷やす
  • 保冷剤や氷がない場合は、自動販売機などの冷えたペットボトルで代用する

症状別にみる水分補給のOK・NG例

自分で水分補給できる場合は、冷たい水を飲みましょう。大量の汗をかいている状態であれば、水分と塩分を同時に補給できる経口補水液を飲みます。

ここからは注意が必要です。

意識障害がある、呼びかけに応じない状態にある場合は、水分が気道に流れ込んでしまう恐れがあります。医療機関に連絡するとともに、救急隊員からの指示に従いましょう。

吐き気がある、すでに嘔吐の症状がある場合は、口から水分を摂取せずに病院で点滴などの処置が必要です。速やかに救急要請をおこないましょう。

参考:環境省環境保健部環境安全課『熱中症環境保健マニュアル 2022

混ぜるだけ!500ml経口補水液の作り方

厚生労働省では、熱中症対策として「水100mlあたりナトリウム40~80mgの摂取」を推奨しています。

市販品では経口補水液やスポーツドリンクなどが該当しますが、じつはご家庭でも簡単に作ることができます。

500ml経口補水液の材料

必要な材料を全て入れて、かき混ぜれば完成。作った補水液は冷蔵庫に保管して、作った当日中に消費しましょう。

大さじ・小さじがご家庭にないときは、ペットボトルのキャップで代用できます。ペットボトルのキャップはほとんど共通の規格で、すりきり一杯=大さじ半分です。つまり、キャップ2杯で大さじ1杯分になります。

1リットル分の経口補水液を作る際は、各分量の「倍量」を目安に調整してください。

自分自身や周りの人の異変に気づき、「熱中症かもしれない」と疑うことも命を救うきっかけになります。日頃から熱中症対策を心がけましょう!