夏バテで食欲が出ない、身体がいつもより疲れやすい…。猛暑に負けない体をつくるためには、食欲が無くても栄養価のある食事をとることが重要です。
そこで今回は、夏バテ予防に摂りたい食材&栄養を逃がさない調理法をご紹介します。
疲労物質の代謝を促す「ビタミンB1」
ビタミンB1には、糖質を分解してエネルギーに変える働きや、疲労物質や老廃物の代謝を促進する働きがあります。水に溶けやすい性質があり、汗とともに体外へ排出されてしまいます。
ビタミンB1が不足すると糖質や脂質をうまく分解できず、エネルギー不足から疲労感や、倦怠感、食欲不振といった夏バテ症状の原因になります。
栄養を逃がさない調理法
熱に弱いビタミンB1は、加熱により半分ほどが失れると言われています。煮たり、ゆでる時は煮汁ごといただくといいでしょう。
ニンニク、ニラ、ネギ、玉ねぎなどに含まれるアリシンを一緒に摂取すると、ビタミンB1の吸収率を高める効果が期待できます。
ビタミンB1を多く含む食品 | |
肉・魚類 | 豚肉、レバー、うなぎ、たらこ など |
穀類・野菜類 | 玄米、胚芽米、アボカド、枝豆、大豆、落花生、昆布 など |
暑さ・疲労によるストレス緩和に「ビタミンC」
私たちの体は暑さや過労、睡眠不足などでストレスを感じると、抗ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール(副腎皮質ホルモンの一つ)を分泌します。
この抗ストレスホルモンの分泌には、大量のビタミンCが必要です。ビタミンCが不足するとコルチゾールを十分に生成できず、ストレスに対する抵抗力が弱まります。
ビタミンB1と同じように、汗や尿となって排出されるためこまめに摂取する必要があります。
栄養を逃がさない調理法
ビタミンCは水に溶けやすく、加熱に弱い性質があります。そのため、生の野菜や果物で摂取することをおすすめします。
ビタミンCの過剰摂取は、消化器官や腎機能に影響することがあります。腎臓病等の持病がある場合は、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。
ビタミンCを多く含む食品 | |
果物類 | いちご、キウイ、グレープフルーツ、柿、レモン など |
野菜類 | 赤・黄ピーマン、ブロッコリー、 ゴーヤー、じゃがいも など |
夏バテしにくい身体をつくる「たんぱく質」
たんぱく質は筋肉の疲労回復や、基礎代謝や持久力を向上させる働きがあります。
たんぱく質が不足すると、体力の低下や、やる気や食欲に関係するドーパミンの分泌量低下につながり、疲労を感じやすくなる原因になります。
人の体はたんぱく質を体内に蓄えることができません。一日三食の食事のなかで動物性たんぱく質、植物性たんぱく質、必須アミノ酸をバランスよく摂取しましょう。
栄養を逃がさない調理法
ビタミンB6はたんぱく質の代謝を促す働きがあります。ビタミンB6が豊富な食材は玄米、赤パプリカ、ニンニクなど。
暑くてガス調理をしたくない時は、コンビニで手に入るサラダチキンや、ゆで卵、魚の缶詰等の加工食品を活用しましょう。
良質なたんぱく質を多く含む食品 | |
肉類 | 牛・豚の赤身肉、鶏肉、豚レバー、鶏レバー、卵 など |
魚類 | アジ、カツオ、サケ、ブリ、ツナ缶 など |
その他 | 納豆、豆腐、乳製品 など |
熱中症予防をたすける「ミネラル」
カルシウムやカリウムなどのミネラルは、細胞や臓器の機能を維持するために欠かせない栄養素の一つです。
汗をかくと同時にミネラルも失われます。ミネラル不足により体内の水分バランスが乱れると、倦怠感や食欲不振、脱水症状を引き起こすことがあります。
ミネラルは体内で作り出せないため、食事から摂取する必要があります。
栄養を逃がさない調理法
水に溶けやすいカリウムは、旬の果物で簡単に補うことができます。牛乳や小魚に多いカルシウムは、ビタミンDと一緒に摂取すると吸収率がアップします。
腎不全や腎機能が弱い場合はカリウムの過剰摂取に注意が必要です。食事改善をおこなう際は、主治医やかかりつけの医療機関の指示に従ってください。
カリウムを多く含む食品 | |
野菜類 | サツマイモ、ジャガイモ、ほうれん草、かぼちゃ、トマト など |
果物類 | バナナ、メロン、キウイ、アボカド、柿、梨 など |
海藻類 | ワカメ、昆布、ひじき、海苔 など |
食欲減退を回復させる「クエン酸」
レモンや梅干しなどに多いクエン酸は、熱中症予防に欠かせないカルシウムなどのミネラルの吸収を促進する働き(キレート作用)があります。
クエン酸の酸っぱい味は、唾液の分泌を促して食欲増進をたすける効果も期待できます。
クエン酸を多く含む食品 |
梅干し、オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、レモン、ゆず など |
夏バテで食事量を減らすと、さらに体力が低下して疲労回復に時間がかかってしまいます。
冷たいうどんやサラダなど、食べやすいものから挑戦してエネルギーをしっかりと蓄えましょう!
参考:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)』、厚生労働省『e-ヘルスネット「健康用語辞典」』