夏はたくさん汗をかいているのに、前より太ったという経験はありませんか?実は、夏は冬よりも太りやすいと言われています。
そこで今回は、夏太りする原因と今すぐできる3つの対策についてお話します。
夏は太りやすいって本当?
※ウーマンウェルネス研究会=女性の健康づくり支援を目指して医師・専門家・企業が集い発足した研究会。
夏は基礎代謝が低下しやすい
人間の体には、ホメオスタシス(生体恒常性)という仕組みが備わっています。
私たちの体はこの恒常性の働きによって、外気温に関わらず体温を36~37℃に維持しています。このホメオスタシスは、基礎代謝と深い関係があります。
基礎代謝とは、運動や活動を行わない状態で1日に消費されるエネルギーのことです。体温維持のために消費されるエネルギーも含みます。
一般的に基礎代謝量は、体温と外気温の温度差が大きいほど増加します。
例えば、冬は外気温が低いため、内臓や筋肉組織などの機能を維持するためにより多くのエネルギーが消費されます。
一方で、夏は外気温が高いため、体内で熱を発生させて体温を維持する必要がありません。その結果、基礎代謝が低下しやすくなります。
夏は筋肉量が減少しやすい
夏太り対策の鍵をにぎる基礎代謝の約22%を、骨格筋が占めていると言われています。
筋肉の機能を維持するためにエネルギーが使われるので、筋肉量を増やすと基礎代謝が上がり、痩せやすくなるということ。逆に言うと、筋肉量の減少は基礎代謝の低下につながるということです。
夏は室内にこもりがちになり、外出する際も、徒歩よりも車や電車を利用する機会が増えます。一日の活動量に比例するように筋肉量が減少し、結果として、基礎代謝の低下から夏太りにつながるのです。
夏は内臓が冷えて血行不良になりやすい
夏太りの3つ目の大敵は、内臓冷え(内臓型冷え性)です。
熱中症予防に欠かせない冷房などは、身体の表面温度だけでなく内側も冷やします。さらに食事の観点では、アイスクリームや炭酸飲料、キンキンに冷えたビール、ざる蕎麦などの冷たい飲食物が内臓冷えの原因となります。
内臓が冷えると、代謝低下だけでなく血行不良をもたらし、便秘や下痢、自律神経の乱れに伴う不眠、免疫機能の低下といった様々な不調を引き起こします。
内臓冷えによる主な不調
- 消化不良、便秘
- 食欲不振
- 片頭痛、肩こり
- 倦怠感
- 不眠
- 免疫機能低下(風邪をひきやすいなど)
対策① 夏太りしないための食事
人間は、寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われています。 暑い日はより多くの水分が失われます。睡眠中の脱水状態を回復させるために、朝食をしっかり食べて、水分と栄養を摂ることが大切です。
食欲が出ないときは、起床時にコップ一杯の水や牛乳、野菜ジュースを飲んで胃を目覚めさせましょう。
また、冷たい麺類やアイスクリーム、手軽に食べられる丼物など、夏に好まれる食事は炭水化物と糖質が多い傾向にあります。栄養の偏りは、基礎代謝の低下や体の組織の調節機能に影響しますので、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
夏太り対策のために摂りたい栄養素
- 身体の土台をつくる良質なたんぱく質(肉類、魚類、卵、大豆製品など)
- 糖質をエネルギーに変えるビタミンB群(豚肉、うなぎ、玄米、納豆、牛乳など)
- 暑さや疲労によるストレスを軽減するビタミンC(レモン、パプリカ、ブロッコリーなど)
- 汗で失われた水分とカリウムの補給(きゅうり、ナス、トマトなど)
- 疲労回復をたすけるクエン酸(梅干し、柑橘類、黒酢など)
対策② 夏太りしないための入浴
内臓冷えの対策として、おすすめなのが入浴です。
特に猛暑では、入浴はシャワーだけで済ませるという方も多いと思います。 しかし、冷え対策には入浴が効果的です。 入浴によって関節や筋肉など体全体の緊張がほぐれ、血液やリンパの循環がよくなるなど、疲れやすい体にたくさんのメリットがあります。
お湯は38~40度のぬるめの温度に設定し、じっくりと体を温めます。脱水予防のため、入浴後には必ず水分補給しましょう。
対策③ 夏太りしないための睡眠
夏は暑くて寝つけない、眠りが浅くなる、という人も多いかもしれません。睡眠不足によって体内のリズムが乱れると、自律神経や内分泌系の調節機能がうまく働かなくなり、代謝低下や食欲増加などにつながることがあります。
十分な睡眠をとるために、寝室を快適な環境にしましょう。
室温26~28度、湿度50~60%が眠りやすいと言われています。この快適な室温・湿度を保つようにエアコンの除湿機能を上手に使いましょう。 エアコンの風が直接体にあたらないよう、風向を調整することも大切です。
また、快眠のコツとして、深部体温が下がると寝つきやすくなると言われています。
就寝の1~2時間前に、38度程度のぬるま湯につかり深部体温を上げておくと、寝る頃には深部体温が下がって寝つきやすくなります。 さきほども入浴について触れましたので、お風呂につかることは一石二鳥にも三鳥にもなりますね。
それでも改善しない時は?病気の可能性を疑う
ここまで夏太りの原因についてお話しましたが、自己判断だけでは危険な場合もあります。
「毎日運動しているのに体重が増えた」
「炭水化物を抜いたら、急に体重が落ちて疲れやすくなった」
「むくみ対策をしても手足がパンパンにはれている」
などの状態が長引いている場合は、心臓や、腎臓、肝臓、甲状腺等の機能障害が疑われることもあります。
また、炭水化物抜きダイエットのように過度な減量を行うと、集中力の低下や倦怠感といった低血糖の症状がみられる場合もあります。少しでも他の原因が疑われるときは、かかりつけの医療機関または薬局に相談しましょう。
参考:(社)安全衛生マネジメント協会 安全衛生関連用語集「ホメオスタシスとは」、厚生労働省 e-ヘルスネット「健康用語辞典, 糖尿病性腎症」