夏はたくさん汗をかいているのに、前より太った!という経験はありませんか?実は、夏は冬よりも太りやすいと言われています。
そこで今回は、夏太りする原因とNG習慣についてお話します。
夏は太りやすいって本当?

ウーマンウェルネス研究会※の調査によると、夏太りする人は夏痩せする人の約3倍、と言われています。
どうして夏に太りやすくなるのでしょうか。身体の機能(内側)と行動(外側)から夏太りの原因について説明します。
※ウーマンウェルネス研究会=女性の健康づくり支援を目指して医師・専門家・企業が集い発足した研究会。
夏は冬よりも基礎代謝が低くなる
人間の体には、ホメオスタシス(生体恒常性)という仕組みが備わっています。
私たちの体はこの恒常性の働きによって、外気温に関わらず体温を36~37℃に維持しています。このホメオスタシスは、基礎代謝と深い関係があります。
基礎代謝とは、運動や活動を行わない状態で1日に消費されるエネルギーのことです。体温維持のために消費されるエネルギーも含みます。
一般的に基礎代謝量は、体温と外気温の温度差が大きいほど増加します。
例えば、冬は外気温が低いため、内臓や筋肉組織などの機能を維持するためにより多くのエネルギーが消費されます。一方で、夏は外気温が高いため、体内で熱を発生させて体温を維持する必要がありません。その結果、基礎代謝が低下しやすくなります。
夏は筋肉量が減少しやすい
夏太りのカギをにぎる基礎代謝の約20%は、骨格筋が占めていると言われています。
筋肉の機能を維持するためにエネルギーが使われるので、筋肉量を増やすと基礎代謝が上がり、痩せやすくなるということ。逆に言うと、筋肉量の減少は基礎代謝の低下につながるということです。
夏は室内にこもりがちになり、外出する際も涼しい場所を求めて車や電車を利用する機会が増えます。一日の活動量が大きく減少することにより、筋肉量や基礎代謝の低下につながるのです。
夏は食事の栄養バランスが乱れる
冷たい麺類やアイスクリーム、手軽に食べられる丼物など、夏に好まれる食事は炭水化物と糖質がたくさん含まれています。
また、夏バテによる食欲不振は栄養不足につながります。こうした栄養不足や偏りは、基礎代謝の低下や体の組織の調節機能に影響します。
夏に摂取していただきたい栄養素として、以下が挙げられます。
- 身体の土台をつくる良質なたんぱく質(必須アミノ酸)
- 糖質をエネルギーに変えるビタミンB群
- 暑さや疲労によるストレスを軽減するビタミンCなど
夏は内臓型冷え性になりやすい
夏太りになる最も身近な原因が、内臓冷え(内臓型冷え性)です。
熱中症予防に欠かせない冷房機器や氷枕などは、身体の表面だけでなく内側も冷やします。アイスクリーム、炭酸飲料、キンキンに冷えたビール、ざる蕎麦などの冷たい飲食物は内臓冷えを起こしやすいです。
内臓の冷えは代謝低下だけでなく、血行不良を引き起こして便秘や下痢、自律神経の乱れに伴う不眠、免疫機能の低下といった様々な不調につながります。
内臓冷えによる身体の不調
- 消化不良、便秘
- 食欲不振
- 片頭痛、肩こり
- 倦怠感
- 不眠
- 免疫機能低下(風邪をひきやすいなど)
夏太り”以外”の病気の可能性を疑う
ここまで夏太りの原因についてお話しましたが、自己判断だけでは危険な場合もあります。
「毎日運動しているのに体重が増えた」
「炭水化物を抜いたら、急に体重が落ちて疲れやすくなった」
「むくみ対策をしても手足がパンパンにはれている」
などの状態が長引いている場合は、心臓や、腎臓、肝臓、甲状腺等の機能障害が疑われることもあります。
また、炭水化物抜きダイエットのように過度な減量を行うと、集中力の低下や倦怠感といった低血糖の症状がみられる場合もあります。少しでも他の原因が疑われるときは、かかりつけの医療機関または薬局に相談しましょう。
参考:(社)安全衛生マネジメント協会 安全衛生関連用語集「ホメオスタシスとは」、厚生労働省 e-ヘルスネット「健康用語辞典, 糖尿病性腎症」