もち麦は、腸活に良いスーパーフードとして知られていますが、一体どのようにして腸内に作用するのでしょうか?

そこで今回は、水溶性食物繊維「ベータグルカン」の働きついてお話します。

もち麦 とは?大麦との違い

もち麦は大麦の一種で、大きく「もち麦」と「押麦」に分類されます。

お米には、私たちが日常的に食べている「うるち米」と、お餅やちまきなどに使われる「もち米」があります。お米と同じく大麦にもうるち性ともち性があり、もち性の大麦をもち麦、うるち性の大麦を押し麦と呼びます。

水溶性食物繊維・不溶性食物繊維のはたらき

食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維とに大きく分かれます。

水溶性食物繊維の特徴

水溶性食物繊維は水に溶けやすく、ゼリー状に固まる性質があります。この性質によって、糖質の吸収を穏やかにしたり、善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。代表的な食材はワカメなどの海藻類、ゴボウ、納豆などです。

不溶性食物繊維の特徴

不溶性食物繊維は水に溶けにくく、便のカサを増やして腸のぜん動運動(内容物を先へ押し出していく運動)を活発にしてくれます。代表的な食材はキノコ類、イモ類、玄米などの穀物類です。

もち麦には白米の約20倍、玄米の約4倍の食物繊維が含まれています。加えて、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含むため、腸内環境改善のスーパーフードとして注目されているのです。

100gあたりの食物繊維量(日本食品標準成分表2015年版七訂)

水溶性食物繊維ベータグルカンと血糖値

水溶性食物繊維ベータグルカンは水分を吸収してゼリー状に固まると、胃腸内の食べ物を包み込んでゆっくり移動します。

小腸の栄養吸収がゆるやかになることで、食後血糖値の急激な上昇を抑えたり、脂質異常症(高コレステロール血症)高血圧予防を助けると言われています。

もち麦ダイエットで失敗する理由

白米と比較すると、もち麦はダイエット向きな食材と言えます。しかし、極端に低カロリー・低糖質な食材ではありません。

もち麦のカロリーは、100gあたり339kcal。白米と比べて10~20kcalしか変わりません。炊飯後のもち麦のカロリーをみても、白米よりも2割程度少ないという結果になりました。

もち麦と白米のカロリー比較(100gあたり)
食品 エネルギー(kcal) 糖質量(g)
もち麦 339 65.2
白米 358 77.1
もち麦(炊飯後) 121 23.2
白米(炊飯後) 163 35

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

一方の糖質はというと、もち麦100gあたりの糖質は白米よりも10g少ないことが分かります。糖質10gはスティックシュガー約3本分に換算できます。白米と比べてカロリー・糖質ともに控えめですが、血糖値を抑える必要がある場合は十分に注意しましょう。

もち麦 のおすすめの調理法

もち麦は、白米などに混ぜて炊く以外にも、様々なアレンジ料理で活躍してくれます。

  • 茹でたもち麦をサラダのトッピングとして
  • ハンバーグのたねに混ぜる
  • パンケーキやお好み焼きなどの生地に混ぜる
  • 野菜たっぷりスープリゾットでダイエット食にも

プチプチした食感を楽しみながら、糖質コントロールもかなえてくれる「もち麦」。注目のスーパーフードで、不足しがちな食物繊維を手軽に補ってみませんか?

参考:厚生労働省 e‐ヘルスネット『食物繊維の必要性と健康』、 日本調理学会誌 Vol.49「穀類に含まれる食物繊維の特徴について」青江誠一郎