健康診断で「コレステロール値が高い」「中性脂肪値が高い」と言われて心配だという方も多いでしょう。では、コレステロール値が高いとどのような問題がおきるのでしょうか?

血中のコレステロール値が基準値より高すぎる、または低すぎることを「脂質異常症」と言います。高血圧と同じく動脈硬化の原因となる病気です。

脂質異常症の原因や、合併症のリスクを理解して、日頃の食生活やお薬の服用と上手につきあっていきましょう。

▼ この記事の目次

脂質異常症とは

検査結果と試験管

脂質異常症とは、血液中に含まれる脂質(コレステロールや中性脂肪)の濃度が基準値よりも高い状態、または低い状態のことをいいます。

従来は「高脂血症」と呼ばれていましたが、コレステロール値が低すぎても問題があることから「脂質異常症」と改められました。

血管中に脂質がたまると、血管が狭くなったり詰まったりして動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高まります。

脂質異常症の主な原因と症状

脂質異常症の主な原因は、脂質の摂り過ぎや運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣にあります。

また遺伝的な素因のほか、糖尿病・腎疾患などの病気、服用している薬剤の影響により発症することがあります。

胸部を押さえる男性

脂質異常症は自覚症状がほとんどないと言われています。

脂質異常の状態を放置したために、気づかないうちに動脈硬化が進行し、ある日突然心筋梗塞や狭心症を発症する危険も潜んでいます。

脂質異常症の新しい判定基準値

LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の値が高い状態を、以前は「高脂血症」と呼んでいました。

しかし、HDL(善玉)コレステロールの値が低すぎる状態も動脈硬化のリスクを高める問題があることなどから、現在は「脂質異常症」に改められました。

脂質異常症の判定基準値
LDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール40mg/dL未満低HDLコレステロール血症
中性脂肪(トリグリセライド)150mg/dL以上高トリグリセライド血症

※薬物治療開始の基準ではなく、生活習慣の改善が必要とされる目安 ※日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」より作成

こちらの判定基準値とは別に、高血圧や糖尿病、心臓病の既往などの危険因子の有無により治療開始の基準が異なります。

定期的に健康診断を受けて、コレステロール値を把握して早めの改善を心がけましょう。

脂質異常症とコレステロールの関係

コレステロールは身体に存在する脂質の一種です。

コレステロールは悪者扱いされがちですが、じつは身体を健康に保つ上で欠かせない脂質で、細胞膜・ホルモン・胆汁酸などを作る材料となります。

コレステロールには「LDL(悪玉)コレステロール」と「HDL(善玉)コレステロール」があり、LDLコレステロールは脂質を運ぶ役割を、HDLコレステロールは脂質を回収する役割を担っています。

コレステロールと血管の仕組み

しかし、この二つのコレステロールのバランスが崩れると、血液中のコレステロールが過剰になり脂質異常症を引き起こします。

コレステロール値が低すぎる場合でも細胞膜や血管が弱くなったり、免疫力の低下を招くおそれがあるため、一定量のコレステロールを体内に保つ必要があります。

※ 厚生労働省「e-ヘルスネット情報提供」令和2年10月12日閲覧

高LDLコレステロール血症とは

血管と動脈硬化の図

高LDLコレステロール血症とは、血中のLDLコレステロールが多すぎる状態のことを言います。

LDLコレステロールは肝臓からコレステロールを血液中に放出し、全身に運ぶ役割があります。LDLコレステロールは一般に悪玉コレステロールと呼ばれ、増えすぎると余分な脂質が血管壁に沈着して動脈硬化を起こしやすくなります。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

LDLコレステロールを増やす原因の一つが飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は肉や乳製品などの動物性脂肪に多く含まれます。

例えば肉の脂身、ベーコンなどの加工肉、バターや生クリーム、チョコレート、ドーナツなどです。

高LDLコレステロール血症の予防・治療においては、遺伝的素因や糖尿病・腎疾患などの病気の場合を除いて、食事や運動など生活習慣の改善が基本となります。

低HDLコレステロール血症とは

低HDLコレステロール血症とは、血中のHDLコレステロールが少なすぎる状態のことを言います。

HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、全身の細胞から余分なコレステロールを回収して、肝臓に戻す役割があります。肝臓に運ばれたコレステロールは胆汁を開始て体外へ排出されます。

HDLコレステロール値が低すぎると、血中の余分な脂質を回収しきれなくなり、虚血性心疾患の発症率が高まることが知られています(下図)

HDLコレステロール値と冠動脈疾患のグラフ

(NIPPON DATA80:厚生労働省が指導している日本のコホート調査)

HDLコレステロールを増やすためには有酸素運動が有効であることがわかっています。そのため、低HDLコレステロール血症の予防・治療においても、遺伝的素因や病気が原因である場合を除いて、生活習慣の改善が基本となります。

高中性脂肪(トリグリセライド)血症とは

高中性脂肪血症(高TG血症)とは、血中に含まれる中性脂肪(トリグリセライド=TG)の値が高い状態のことを言います。

本来、中性脂肪はエネルギー源として消費されますが、過剰になると肝臓や脂肪細胞に蓄えられ、脂肪肝(肝臓に脂肪がたまった状態)の原因になります。

中性脂肪が増える主な原因として、飲酒糖質の過剰摂取があげられます。飲酒を控えたり、食習慣・食行動を見直すことが高中性脂肪血症の改善に有効です。

脂質異常症の主な治療薬

コレステロールの基本を知っていただいたところで、脂質異常症の方によく使われるお薬について説明していきます。これらは脂質異常症の治療薬の一例です。

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬物)

体内でコレステロールが作られるとき、HMG-CoA還元酵素が必要になります。この酵素の働きを邪魔してコレステロールが作られないようすることで、コレステロール値を下げるお薬です。

これらの薬の中には、グレープフルーツジュースによって効果が強く出過ぎてしまうものがありますので、服用の際は注意しましょう!

  • コレステロール吸収阻害薬

飲食物に含まれるコレステロールは小腸から吸収されます。このお薬はコレステロールが小腸から吸収されないようにすることで、コレステロール値を下げてくれます。

  • トリグリセリド合成阻害薬(フィブラート系薬物)

トリグリセリド(中性脂肪)の分解を促進することで、トリグリセリド値を下げます。

  • EPA製剤

魚の油の成分で、トリグリセリド(中性脂肪)の生成を抑えることができます。また動脈の弾力を保ったり、血液をサラサラにしたりする効果もあります。

いかがでしたか?

健康診断や定期健診で脂質異常症と診断されていなくても、日頃から適切な食事と運動を心がけることが重要です。

コレステロールの薬物治療を行っていたり、ご家族のコレステロール値について心配なことがありましたら、お近くのホウライの薬局までご相談ください!