血圧計

こんにちは、ホウライスタッフです!

患者様とお話していると、さまざまな質問をいただきます。中でも「血圧の治療薬」に関する質問が多く寄せられます。

血圧の薬はいつまで飲み続けるのか?塩分の取りすぎはどうしてよくないの?

そこで今日は、「高血圧症と治療方法」についてお話します。

▼ 記事の目次

高血圧とは?

高血圧とは、安静にしている状態での血圧が慢性的に一定より高い状態のことをいいます。

運動した後や、たまたま計測した血圧の値が高いだけでは、高血圧症と言い切れません。

収縮期血圧

血圧には、心臓が収縮したときにかかる収縮期血圧(上の血圧)と、心臓へ血液が戻るときの拡張期血圧(下の血圧)があります。

どちらか一方でも正常範囲を上回っていれば高血圧です

高血圧と判断される目安として、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン」を参考にしてください。

成人における血圧値の分類(mmHg)

分類診察室血圧家庭内血圧
収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
正常血圧<120 かつ <80<115 かつ <75
正常高値血圧120~129 かつ <80115~124 かつ <75
高値血圧130~139 かつ/または 80~89125~134 かつ/または 75~84
I度高血圧140~159 かつ/または 90~99135~144 かつ/または 85~89
II度高血圧160~179 かつ/または 100~109145~159 かつ/または 90~99
III度高血圧≧180 かつ/または ≧110≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90≧135 かつ <85

参考:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」ライフサイエンス出版,2019年4月発行

高血圧症の主な原因

高血圧症の約9割は、原因がはっきりしない本能性高血圧症とされています。

本能性高血圧症になる原因は、もともとの体質といった遺伝的要因や、塩分過多・肥満・運動不足・ストレス・喫煙などの環境的要因が考えられます。

残る約1割は、原因が明らかな二次性高血圧に該当します。二次性高血圧の場合は腎臓疾患、ホルモンの異常分泌、薬剤の副作用などが原因として考えられます。

高血圧を放置してはいけない理由

人体模型図

高血圧の状態を放置すると、心臓や身体中の血管に障害をきたし、血管が硬くなったり劣化します。これがいわゆる「動脈硬化」です。

動脈硬化が進行すると、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・狭心症・心不全・心筋梗塞などを引き起こします。

また、高血圧が慢性化すると腎臓に大きな負担かかります。余分な水分や塩分をうまく排泄できないために、さらに血圧が上昇する悪循環に陥るのです。

腎臓機能の低下による慢性腎臓病は、脳卒中・心筋梗塞・心不全などの心臓血管病を発症するリスクが約3倍と言われています。

※二宮利治ら「慢性腎臓病の有無と心血管病の発症率(久山町研究より)」透析会誌2006

高血圧症の主な治療法

和朝食

高血圧症の主な治療は、食事や運動などの生活習慣を改善する非薬物療法と、降圧薬による薬物療法があります。

非薬物療法は食事中の塩分制限を基本とします。

塩分制限に加えて、コレステロールの制限、減量や適度な運動、アルコール制限、禁煙、ストレス緩和などを行います。

一方で、薬物療法は降圧剤と呼ばれる血圧を下げる薬剤を使用します。

降圧剤には様々な種類があり、年齢・性別や高血圧症の重症度、合併する疾患などを考慮して選択されます。

大抵の場合は、少量の降圧剤を飲むことから始まります。血圧が下がらない場合は増量したり、2種類以上の降圧剤を併用することがあります。

【疑問1】血圧の薬は飲み続けなきゃだめ?

A. ”継続して飲んでいただくことが多い”です。

例えば風邪をひいたとします。

風邪はウィルスや細菌の感染によることが多いため、発熱や咳、鼻水などの症状がでます。この時は抗生物質や解熱剤などが処方されます。

体の抵抗力や薬の作用により、ウイルスや細菌が体内からいなくなれば風邪の症状は治りますので、その後は薬を飲む必要がありません。

ガラスに入った水と薬

しかし、高血圧症の多く長年の生活習慣や体質等が原因とされます。残念ながら、風邪のようにウイルスがいなくなれば完全に治るということが少ないのです。

血圧の薬は、血圧が下がった状態を保つための薬と考えていただくと良いでしょう。

薬の服用を中止した途端に血圧は再び上がるため、継続して飲んでいただくことが多いです。

【疑問2】薬の服用を中止できることもある?

A.症状・場合によっては中止することも可能です。

肥満や過度の塩分摂取など、生活習慣に潜む原因を改善することで血圧を下げる(正常値を維持する)ことが出来れば、薬の服用を中止することも可能です。

他にも、冬場は寒くて血圧値が高いが、夏場は血圧値が正常という方は、夏場だけ薬の服用を中止することが可能な場合もあります。

ただし、動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞などの病気を予防するためには、薬の服用を継続することが大切です

服用の中止にあたっては、必ず主治医やかかりつけの医療機関へ相談しましょう。

【疑問3】塩分の取りすぎはどうしてよくないの?

醤油と塩

人間の体内は、約0.9%の濃度の塩水が保たれています(多少の個人差はあります)。

濃度0.9%の塩水というと、1リットルの水に9gの塩分が溶けている状態。口にするとかなりしょっぱいです。

ここからは応用編。

例えば、食事から9gの塩分を体に取り入れた場合は、体内の塩分濃度を0.9%にするために約1リットルの水が必要になります。

塩分9gを摂取するあたり、1リットルの水が体内に溜まるということです。

血圧計

内臓が正常な状態であれば、余分な塩分と水分が尿として体の外に排出されます。

しかし、塩分過多な状態では排出が追いつかず、血中のナトリウム濃度が高まり水分が溜まります。血液量が増加すると血管を押す力が強くなり、結果として血圧が上昇します。

これが「塩分の取りすぎは良くない」の答えです。

いかがでしたでしょうか?

高血圧症の患者数は年齢とともに増加します。男性は40代で3人に1人、女性は60代以降で50%以上とも言われています。

高血圧症の発症リスクを抑えるために、日頃から適切な生活習慣を心がけましょう!

参考:
国立研究開発法人国立循環器病研究センター「循環器病について知る」2020年8月28日閲覧
George L. Barkris「高血圧の薬物治療」MSDマニュアル,2018年3月改訂