こんにちは、ホウライスタッフです♪

先日お伝えした通り、気温の上昇とテイクアウト・デリバリーの利用増加で、食中毒のリスクが高まっています。

食中毒と言っても原因は多種にわたりますが、その中から、新潟県が7月~9月までを食中毒予防強化期間としている「腸管出血性大腸菌」についてお話します!

▼ この記事の目次

腸管出血性大腸菌とは

大腸菌とは、家畜や人の腸内に存在する菌のことです。そのほとんどは害がありませんが、中には人に下痢やなどの症状を引き起こすものがあり「病原大腸菌」と呼ばれています。

病原性大腸菌は100種類を超える血清型があると言われていますが、そのうち「ベロ毒素」という毒素を出して、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすものが「腸管出血性大腸菌」と呼ばれます。※血清型…細胞表面の抗原を基に分類した微生物、ウイルスあるいは細胞の型のこと

代表的な腸管出血性大腸菌にはO157、O26、O111などがあります。特にO157の感染力は非常に強く、重症化すると死に至るケースも報告されています。

O157等の主な感染経路は飲食物

感染経路のほとんどは、菌に汚染された飲食物を介した経口感染です。また、家畜などの糞便にも見られ、糞便で汚染された水や飲食物を口にすることでも感染します。

O157はとりわけ感染力が強く、通常の細菌性食中毒は100万個以上の菌が体内に入らないと発症しないのに対して、O157はたった100~1,000個程度でも体内に入ると食中毒が起こると言われています。

O157等による食中毒事例

出典:国立感染症研究所ホームページ「腸管出血性大腸菌感染症とは」

国内では、レバー等の生肉加熱不十分な肉類、生野菜、井戸水で感染する事例が多くなっています。また海外では、農業用水で二次汚染を受けた生野菜を食べて感染したという事例も報告されています。

またO157の場合、その感染力の強さから集団食中毒の事例も多く見られます。1996年、大阪府堺市で学校給食を原因とした学童集団下痢症が発生。患者数は児童7,892名を含む9,523名にものぼり、その内3名の児童が死亡するという大変痛ましい事件となりました。

1998年には北海道産のイクラに起因する食中毒で7都府県49名が発症。2001年には輸入牛肉の「牛たたき」により7都県240名の患者が発生した事例もあります。

※平成27年より、食品衛生法に基づき「豚のお肉や内臓を生食用として販売・提供すること」が禁止されています(関連記事リンク)

O157等の感染ピークは6~9月

日本の感染症発生動向調査(NESID)によると、2014年以降は3,500~4,000件の間を推移しています。いずれの年も5月頃から増加し始めて、8月頃がピークとなって夏場に最も多く報告されています。

腸管出血性大腸菌感染症届出数(2020年3月30日現在)

診断年届出数(無症状病原体保有者※1含む)有症者数死者数
2014年4,1562,8390
2015年3,5682,3380
2016年3,6472,24610
2017年3,9042,6061
2018年3,8552,5840
2019年3,7442,5110
2020年※22501580

※1. 患者発生時の積極的疫学調査や調理従事者などの定期検便などにより発見される。※2. 2020年のみ調査期間が1/1~3/27

2016年、老人ホームの給食で出された「キュウリのゆかり和え」を原因とするO157集団食中毒では、患者数84名とその内10名の死者が発生しました。

2017年には、群馬県と埼玉県の惣菜店で販売されたポテトサラダなどを食べた人が腸管出血性大腸菌O157に感染。20名以上の集団食中毒を引き起こし、その内3歳の女児が死亡した事例を覚えていらっしゃる方も多いと思います。

この事件以降、全国各地のスーパーマーケットや食品販売店では、トングを短時間で交換・消毒といった衛生管理を強化。また、子どもや利用者が食品やトングに手を触れないように、食品をカバーで覆うなどの二次感染対策が重要視されるようになりました。

資料:国立感染症研究所「腸管出血性大腸菌感染症, 表.腸管出血性大腸菌感染症届出数」 2020年5月28日公開

【重症合併症に注意】O157等の主な症状とは?

腸管出血性大腸菌感染症は、多くの場合3~5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛を伴う水様便の後に、血便となることがあります(出血性大腸炎)。

中には全く症状が認められない場合や、軽い腹痛や下痢で終わるケースもあります。他の細菌性腸炎と比べると高熱になりにくく、発熱があっても一過性の場合が多いとされています。

また、これらの症状が認められる者のうち6~7%が、初期症状発症から数日~2週間以内に「溶血性尿毒症症候群(HUS)」や脳症などの重症合併症を発症すると言われています。HUSを発症すると死に至る危険性もありますので、激しい腹痛や血便がある場合には特に注意が必要です。

【家庭でできる】6つの予防策を実践しよう

1. 食品を購入するとき

食品を購入する時は、賞味期限を確認して新鮮なものを選びましょう。肉や魚類などは水分が他の食品に付着しないように、ビニール袋に分けて入れます。

購入した後は、寄り道したり車内に放置せず、できるだけ早めに帰宅するようにしましょう。

2. 食品を保存するとき

帰宅したらすぐに食品を冷蔵庫や冷凍庫に入れます。この時も、肉や魚は水分がこぼれないように注意して、ビニール袋や密封容器に入れて保存します。

また、冷蔵庫や冷凍庫の中をきちんと整理することも重要です。多くの食品を詰め込みすぎると、冷気の循環が悪くなり食品の劣化につながります。冷蔵庫・冷凍庫の容量に対しておよそ7割程度が目安です。

冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下の状態を保つようにしましょう。

3. 下準備するとき

まずは台所まわりをキレイにします。まな板や包丁、調理器具、手を拭くタオルやふきんが清潔なものであるかを確認しましょう。

次に、石鹸で手首から爪の先までしっかり洗います。野菜などの食材も水で洗って汚れを落とします。肉や魚、卵を取り扱った後は手をよく洗い、使用したまな板や包丁も洗剤で洗います。

まな板や包丁は肉用・魚用・野菜用で使い分けると良いでしょう。くれぐれも、肉や魚を切った包丁とまな板でそのまま野菜を切ったりしないこと!

4. 調理するとき

調理の前にまず手を洗います。調理箸や調理器具は清潔なものを使いましょう。下準備の時と同じように、調理器具についても肉用・魚用・野菜用で使い分けると安全です。

加熱調理をする際は、中心部の温度が75℃以上で1分間以上加熱します。特に肉や魚は生焼けにならないよう十分に注意しましょう。

5. 食べるとき

食事の前には必ず石鹸で手を洗います。食卓の上をふきん等でしっかり拭き取ります。料理を盛り付けるときも、清潔な箸やお皿を使いましょう。

一度調理したものでも、室温に長く放置すると細菌が発生することがあります。O157は室温に15~20分放置しただけで2倍も増殖すると言われています!

調理後はできるだけ早めに食べるように心がけ、後で食べる時には、電子レンジまたは火を使って再度十分に加熱します。

6. 食べ残しがあるとき

食品が残ってしまった時は、未使用の清潔な容器・食器に移して保存します。時間が経ちすぎているものは処分する方が安全です。

残った食品を後日食べる時は、75℃以上を目安に再度中心部まで十分に加熱します。スープや味噌汁は沸騰するまでしっかり加熱します。

「昨日と色が違う」「変な臭いがする」など少しでも食品に変化がみられる場合は、食べずに捨てましょう。

まとめ

日頃から身の回りを清潔に保つことは、腸管出血性大腸菌感染症だけでなく様々な感染症に有効です。食品を調理する人、食品を選ぶ人、食品を食べる人、みんなが正しい衛生管理を行うことで感染の可能性を減らすことができます。

厚生労働省ホームページでは「腸管出血性大腸菌O157等による食中毒」に関する最新情報を公開しています。ご自身や家族の安全のためにぜひご活用ください。

健康や衛生管理のことでお困りのことがございましたら、お気軽にホウライの薬局までお問い合わせください!😊

参考:
厚生労働省ホームページ「腸管出血性大腸菌Q&A(令和2年5月21日改訂)」
国立感染症研究所ホームページ「腸管出血性大腸菌感染症とは」
厚生労働省薬事・食品衛生審議会食中毒部会「腸管出血性大腸菌による食中毒の対策について」平成13年4月27日通知
厚生労働省「資料1 平成28年食中毒発生状況(概要版)」
厚生労働省 医薬・生活衛生局食品監視安全課, 健康局結核感染症課「資料1-2 腸管出血性大腸菌感染症・食中毒事例の調査結果取りまとめ」平成29年11月17日通知
政府広報オンライン「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」令和2年6月22日