突然ですが、「日焼け止めはSPF値やPA値が高ければ高いほどよい」と思っていませんか?

日焼け止めを誤った方法で使用したり、肌に合わないものを使用して肌荒れを引き起こすこともあります。

夏本番の前に「正しい紫外線対策」をおさらいしておきましょう。

日焼けはどうして良くないのか?

日焼けは軽いやけどと同じです。

日焼けにより皮膚の細胞が傷つくと、皮膚のバリア機能が低下して肌の角層に水分を保持することができなくなります。

バリア機能低下により乾燥が進行すると、しみ・シワなど皮膚の老化、湿疹や蕁麻疹などの皮膚疾患につながる恐れがあります。

ダメージを受けた皮膚を放置することで、ウイルスや細菌が侵入して皮膚炎症を起こすこともあります。

日焼けで赤くなる人と黒くなる人の違いは?

肌が黒く焼けるのは「メラニン」が多いから。

メラニンは紫外線を吸収し、肌の細胞ががん化するのを防ぐ働きがあります。

言い方を変えると、メラニンが多い人は光老化や紫外線の刺激から肌を守る力が強いのです。

皮膚がんを起こす仕組み
環境省『紫外線環境保健マニュアル2015「紫外線の皮膚への影響」』

では、日焼けで肌が赤くなる人はどうでしょう?

肌が黒くならず赤くなる人は、遺伝や体質によってメラニンを作る能力が低いと言われています。

そのため、わずかな紫外線でも炎症を起こしやすく、皮膚がんの発症率が比較的高いことが分かっています。

参考:環境省環境保健部環境安全課『紫外線環境保健マニュアル2015「紫外線による健康影響」』

日焼け止めのSPFとは?

紫外線

SPFとは、UV−B(紫外線B波)に対する防止効果を示します。UV-Bは日焼けによって肌が赤くなる原因となります。

一般的に、肌が紫外線を浴びてから20分~30分程度で日焼けの状態になると言われます。

SPFの値は「日焼けが始まるまでの時間を何倍遅らせることができるか」を表しています。SPF30や50といった数値で表され、数値が大きいほどUV-Bの防止力が高まります。

例えば、SPF30とSPF40の場合ですと

  • SPF30➡︎20〜30分×30=10〜15時間
  • SPF40➡︎20〜30分×40=13〜20時間

の時間は日焼けを防ぐことができるというわけです。

日焼け止めのPAとは?

PAとは、UV-A(紫外線A波)による日焼けの防止効果を表します。

UV-Aは、メラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)を刺激して、シミや色素沈着の原因となります。

地上に降り注ぐUV-Aのうち、30〜50%は皮膚の奥深くにある真皮に到達すると言われています。これにより皮膚の弾性繊維が破壊され、シワやたるみなど肌老化を引き起こします。

日焼け止めには「PA+」から「PA+++++」まで5段階があり、「+」の数が多いほどUV-Aに対する日焼け防止力が高まります。

日常生活ではPAの+が多いものを、屋外レジャーやスポーツの紫外線対策にはSPF値が高いものを選ぶ、と覚えると良いでしょう。

SPFとPAは数値が大きいほどいい?

パウダーコンパクト

敏感肌や乾燥肌の場合は、紫外線吸収剤やパラペンといった成分が原因となり、肌荒れや炎症を起こすことがあります。

肌が弱い方は低刺激性の商品や、パウダータイプやスプレータイプなど肌に負担のかかりにくい商品を選びましょう。

また、ウォータープルーフタイプの日焼け止めは洗い流しに時間がかかることがあります。

過度に顔を洗ったり、洗い残しがあると肌荒れの原因になるため注意しましょう。

参考:日本化粧品工業連合会「紫外線防止用化粧品を正しく選びましょう

日焼け止めは2~3時間おきに塗り直す

日焼け止めは時間が経過すると、汗や皮脂とともに落ちてしまいます。

とくに外出時は、日焼け止めを2~3時間おきに塗り直すと安心です。スプレータイプの日焼け止めなら、塗り直しの手間が省けますよ。

また、開封後の日焼け止めは酸化や劣化が進みます。一度開封したら、ワンシーズンから1年以内に使い切りましょう。

顔に塗る場合
  1. 液状タイプは1円玉2枚分、クリームタイプはパール粒2つ分程度の量を手に取る
  2. 少量ずつ「点置き」して、塗り残しのないようムラなく広げる
  3. 毎2〜3時間に塗り直す
手足・全身に塗る場合
  1. 直線を描くように肌の上に日焼け止めを出す
  2. 塗り残しのないようムラなく広げる(腕の内側、首裏なども忘れずに)
  3. 毎2~3時間に塗り直す

参考:環境省『紫外線環境保健マニュアル2015』

肌再生を促すアフタースキンケア

肌再生のカギは、72時間以内のアフターケアです。

日焼け後のお肌は軽くやけどしたような状態。まずは、冷水に浸したタオルや、保冷剤をハンカチでくるんだもので肌表面を冷却します。日焼け当日だけではなく、赤みが引くまで数日間は肌のクールダウンに努めましょう。

火照りや痛みが落ち着いたら、肌に残っている日焼け止めや汚れを、泡立てた石鹸で優しく丁寧に落とします。

脱水状態のお肌には、内側と外側から水分補給することが大切。お肌の保湿には、エタノールやアルコール不使用の低刺激性スキンケアがおすすめです。