季節の変わり目は風邪を引きやすくなります。風邪がなかなか治らない、治ってもすぐにぶり返すと感じたら、日頃の生活習慣を見直してみましょう。
そこで今回は「風邪を引きにくくなる6つの生活習慣」についてお話します。
夏風邪と冬の風邪の違い

夏の風邪と冬の風邪は、原因となるウイルスの種類が異なります。
冬に流行する風邪は、インフルエンザウイルスやRSウイルスなどが代表的な原因です。
低温で乾燥した環境で飛散量が増加しやすく、気道感染するものが多いという特徴があります。主な症状は発熱や咳、鼻水、鼻づまり、頭痛などです。
夏風邪の特徴
これに対して夏風邪は、高温多湿な環境を好むアデノウイルスやエンテロウイルスなどが原因になります。主な症状は発熱や喉の痛み、下痢、腹痛、目の充血などです。
夏風邪と称される病気として、プール熱、ヘルパンギーナ、手足口病などがあります。
乾燥から身体を守る

冷暖房がききすぎた空間では、鼻や喉の粘膜が乾燥し、バリア機能が低下してウイルスに感染しやすくなります。また、外との気温差が大きいと、自律神経の乱れから免疫力の低下につながることがあります。
環境省が推奨している室温の目安(夏の冷房時で28℃、冬の暖房時で20℃)を意識して温度調節をおこなってください。
風邪をひかないため工夫
- 風量は「自動」または「弱」に設定する
- 就寝中はおやすみモード、切タイマーを活用する
- 扇風機やサーキュレーターを併用する
- 暖房時は加湿器を併用する
- 体の汗をふいてから寝る
- エアコンの風向きが顔に直接あたらないようにする
熱すぎるお湯、長風呂に注意する
身体の冷えは、血行不良によるむくみや免疫機能低下につながります。夏場もシャワーだけで済ませずに、少しの時間でも良いので浴槽につかりましょう。
ただし熱すぎるお湯や、長風呂は体力を消耗してしまいますので、38~40℃くらいの温度に設定すると良いでしょう。
薄手の羽織りを持ち歩く
外出先では体温調節が難しいこともあります。薄手のカーディガンやパーカーを持ち歩き、重ね着しやすい服装にすると安心です。大判のストールやスカーフでも代用できます。
肌着の選び方も工夫が大切です。夏は速乾性のある肌着を選び、体に付着した汗が冷えるのを防ぎます。
冬は、コットン素材のインナーを重ね着して保温性を高めます。冬も汗をかくので、汗をかいたら拭きとり、湿った肌着はすぐに着替えましょう。
内臓冷え、腸内環境を改善する

内臓の冷えは風邪の大敵。温かいスープを食べて胃腸を温めたり、腸内環境を整えることが大切です。
キムチや納豆などの発酵食品、乳酸菌入りヨーグルト、豆・海藻類などの食物繊維は腸内環境の維持・改善に役立ちます。体の基礎をつくるタンパク質、疲労回復を促すビタミンB群も積極的に摂りたい栄養素です。
また、ニンニクや玉ねぎに含まれるアリシンという成分は、糖の代謝を促すとともにビタミンBの吸収を助ける働きがあります。この作用により新陳代謝を高める効果が期待できます。
タンパク質とビタミンB群が豊富な食材
豚肉、レバー、マグロ、カツオ、サバ、ウナギ、イワシ、納豆など
ビタミンB群が豊富な食材
玄米、大豆、パプリカ、ほうれん草、サツマイモ、バナナなど
運動は「適度な強度」を意識する

激しい運動で体に負荷をかけるほど、免疫力が低下する傾向があることが報告されています。特にマラソンのような持久系スポーツは、運動により破壊された細胞の修復に時間がかかり、感染症などのリスクが高まると言われています。
一方で、適度な運動は免疫機能を高めることもわかっています。比較的に負荷が少ないウォーキング、ヨガ、ストレッチ、ラジオ体操などがおすすめです。血行が促進され、自律神経の乱れや冷えの予防改善も期待できます。
肩甲骨ストレッチで代謝アップ
肩甲骨の周りには、脂肪燃焼を活発にしてくれる「褐色脂肪細胞」があります。
褐色脂肪細胞とは茶色い脂肪細胞のことで、主に鎖骨付近や、脇の下、胸の辺りなどに存在しています。褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞(主に皮下脂肪や内臓脂肪)を燃やし、代謝アップにつながると言われています。


それでも風邪を引いてしまったら?
風邪症状を抑える方法に、市販の風邪薬があります。市販薬は熱を下げる、痛みを緩和するなどの効果があるものの、ウイルスを完全にやっつけるものではありません。
自己判断で購入する前に、薬局やドラッグストアにいる薬剤師さんに相談することをおすすめします。
風邪以外の病や食中毒が疑われる場合もありますので、「市販薬を飲んでも治らない」という時は、早めにかかりつけの医療機関を受診しましょう。
参考資料:都市生活研究所「暖かさの質が冬の健康を左右する」厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」