「体組成」という言葉を聞いたことがありますか?
2カ月半で6kg減!リバウンドしにくい生活習慣改善ダイエットを読んで、体組成計を買おうか迷っていると患者様からご相談いただきました。
今回は購入前に知っておきたい、体組成計と体重計の違いについてお話します。
体組成とは?
私たちの体は、大きく分けて筋肉・脂肪・骨・水分によって構成されています。これらの体を構成する組織を体組成と言います。
健康的な身体を維持するためには、筋肉が少なすぎても脂肪が多すぎてもいけません。
減量や体質改善をおこなう場合、臓器や各器官が適切に機能するためにも、体組成のトータルバランスを維持することが重要になります。
体組成の測定方法は主に2タイプ
体組成計は、主に「両手両足測定タイプ」と「両足測定タイプ」があります。
両手両足測定タイプは、電極がついたグリップを握って持ち上げると、両手・両足から全身に微弱電流が流れて測定されます。
体型の違いや体水分量※の違いによる影響を受けにくいという特徴があります。
一方で両足測定タイプは、体重計と同じように機器に乗るだけで測定することができます。
握力が弱い人も簡単に使うことができますが、体水分量の違いが測定結果に影響しやすく、両手両足測定タイプに比べて正確性が多少劣るとも言われます。
※体内に含まれる水分のことで、血液・リンパ液・細胞間液・細胞内液などを指す(「各機能のご説明|タニタ」参照)
体組成計・体重計・体脂肪計の違い
一般的に体重計は体重を、体脂肪計は体重と体脂肪率しか測ることができません。
しかし体組成計は、体重に占める筋肉量・骨量・皮下脂肪率・内臓脂肪レベルなど(メーカーや製品ごとに異なる)の詳細な項目が数値化されます。
体重 | 体脂肪率 | 筋肉量・骨量・内臓脂肪量など | 基礎代謝・体内水分率など | |
体重計 | ● | × | × | × |
体脂肪計 | ● | ● | × | × |
体組成計 | ● | ● | ● | ● |
一般的な体組成計で測定できる7項目(体重除く)を詳しく見てみましょう!
体組成計を使ったダイエットの記録を公開しています⇒「2カ月半で驚きの〇kg!薬局スタッフA(30代男性)が人生初のダイエットに挑戦してみた」
体組成の測定項目① 体脂肪率・内臓脂肪レベル
体脂肪率
体重のうち体脂肪の重さが占める割合のこと。
体脂肪は体を動かすエネルギー源であると同時に、皮膚や髪に潤いと与えたり、ホルモンの働きを保つために欠かせません。
体脂肪率が高すぎると、肥満による糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の原因になります。体脂肪率をただ下げるだけでなく、年齢や自身の運動量に見合った数値を目指すようにしましょう。
内臓脂肪レベル
内臓脂肪とは、おなかの内臓周りに蓄積される脂肪のことで、メタボリックシンドローム診断における必須項目です。
内臓脂肪が過剰に蓄積されると、高脂血症・高血圧・高血糖・動脈硬化などの原因につながります。体脂肪の量(割合)は体脂肪率を見ればわかりますが、そのうち内臓脂肪と皮下脂肪の割合がどれくらいなのかは判断できません。
体組成計の「内臓脂肪レベル」測定では、内臓脂肪の蓄積度から、生活習慣病などが発症するリスクレベルを推定します。
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体組成でわかること「筋肉量・骨格筋率・推定骨量」
筋肉量・骨格筋率
体重のうち筋肉・骨格筋が占める割合のこと。
体の筋肉は足や腕など体を動かす「骨格筋」、心臓を動かす「心筋」、内臓や血管を構成する「平滑筋」の3つに分類されます。
筋肉量が減少するとエネルギー消費が減少し、脂肪を蓄積しやすい体になったり、運動機能や内臓機能の低下にもつながります。骨格筋の重さを測定するもの、骨格筋・平滑筋に水分量を含めて測定するものなど製品により異なります。
骨量・推定骨量
骨全体に含まれるカルシウム等のミネラルの重さのこと。骨量は20歳頃をピークにして、その後は加齢とともに徐々に減少していきます。
体組成計では、脂肪量との相関関係をもとに骨量が算定されます。骨の強さ・密度・硬さを直接測定するものではないため、骨粗しょう症などが心配な方は専門医に相談しましょう。
体組成でわかること「BMI指数・体内年齢」
BMI
BMI(Body Mass Index)=体格指数は、国際的に肥満を判断する基準として認められています。BMI値は次の計算式で求められます。
◆BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMIが標準値より大きすぎても小さすぎても、病気にかかりやすくなると言われています。
ただし、BMIは身長と体重から計算されるだけなので、筋肉量が多くて体重が重い場合でも肥満と判定されることがあります。体重に対する筋肉と脂肪のバランスを知るためには、体脂肪率・内臓脂肪レベル・骨格筋率などの数値を総合的に見ることが大切です。
日本肥満学会が定める日本の肥満の基準
肥満判定 | やせ | 普通 | 肥満(1度) | 肥満(2度) |
BMI値 | 18.5未満 | 18.5以上25未満 | 25以上30未満 | 30以上 |
体内年齢
基礎代謝などの年齢傾向※から、体組成で測定された数値がどの年齢の体組成と近いかを判定したものです。
例えば、実年齢40歳の人において、筋肉量が多くて基礎代謝も高い場合、体内年齢は20歳代と判定されることもあります。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の基礎代謝基準値に基づき、各メーカーによる研究や統計から算出したもの。
体組成でわかること「基礎代謝量」
基礎代謝量
生きていくために最低限必要な、1日のエネルギー量のこと。
呼吸や体温維持など、生命活動を行うために常に使われているエネルギーで、1日に消費するエネルギーのうち約70%を占めています。
つまり、何もせずダラダラと横になって過ごしているだけでも基礎代謝が行われているということ。基礎代謝の基準値は、年齢・性別・体重によって異なります。
参照体重による基礎代謝量
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 (歳) |
基礎代謝 基準値 (kcal/kg/日) |
参照体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
基礎代謝 基準値 (kcal/kg/日) |
参照体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
12~14 | 31 | 49 | 1,520 | 29.6 | 47.5 | 1,410 |
15~17 | 27 | 59.7 | 1,610 | 25.3 | 51.9 | 1,310 |
18~29 | 23.7 | 64.5 | 1,530 | 22.1 | 50.3 | 1,110 |
30~49 | 22.5 | 68.1 | 1,530 | 21.9 | 53.0 | 1,160 |
50~64 | 21.8 | 68.0 | 1,480 | 20.7 | 53.8 | 1,100 |
65~74 | 21.6 | 65.0 | 1400 | 20.7 | 52.1 | 1,080 |
75以上 | 21.5 | 59.6 | 1,280 | 20.7 | 48.8 | 1,010 |
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」令和元年12月
体質改善と基礎代謝の関係
一般的に、基礎代謝の低下は肥満につながりやすいと言われています。
基礎代謝を上げるためには、筋肉量を増やすことが欠かせません。有酸素運動や筋トレに限らず、ストレッチや腹式呼吸なども代謝アップが期待できます。
さらに入浴等で身体の芯から温めたり、内臓の働きを良くするものを食べるといった生活習慣の改善も大切です。
厚生労働省「e-ヘルスネット 健康用語辞典」
体組成計の最新機能とは?
最近では、体組成計と連動したスマートフォンアプリも登場。Wi-Fi環境があれば、体組成計の測定結果が自動でアプリに転送されます。
数値をグラフ管理することができるので、ダイエットのモチベーション維持にも役立ちます。ウェアラブルウォッチなどの測定機能と組み合わせれば、運動時間や心拍数などを記録することも可能です。
お家時間が増えた今こそ、「体組成計」をつかって健康管理に取り組んではいかがでしょう?